PR

ゲーテの色彩調和論|補色と色相環の考え方

ゲーテの色彩調和論

ゲーテの色彩論は、色を「人間の知覚」として捉えた理論体系であり、現代の色彩学やデザイン理論の基礎にも影響を与えている。

ドイツの文豪 ゲーテは、光と色について研究し、1810に「色彩論*しきさいろん」を発表した。この書物は、約20年もの歳月をかけて執筆されたものである。

色彩論

第一部「教示編・色彩学稿案」
色彩に関する基礎的な理論が展開されている。

第二部「論争篇」
ニュートンの光学理論を批判し、色彩の本質を人間の知覚側から捉え直そうとする立場が示されている。

第三部「歴史編・色彩学史のための資料」
古代ギリシャから18世紀後半までの色彩理論の歴史的変遷が整理されている。

profile

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ*Johann Wolfgang von Goethe

ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家

1749/8/28 – 1832/3/22

小説「若きウェルテルの悩み*Die Leiden des jungen Werthers
/ 1774
」や詩劇「ファウスト」などの著作したドイツを代表する文豪。

シューベルトの歌曲 「野ばら」に用いられた詩「童*わらべは見たり、野中のバラ・・・」の作者でもある。

視覚の慣れ

人間の目は、周囲の明るさの変化に応じて見え方を自動的に調整する性質を持っている。

明順応

明順応*めいじゅんのうとは、暗い場所から急に明るい場所に移動すると、光が眩しくてまわりの風景が白っぽくなり見えにくくなる。しかし、しばらくすると目が慣れてきて、風景がはっきり見えるようになる現象のこと。

暗順応

暗順応*あんじゅんのうとは、明るい場所から暗い場所に入ると、しばらくは暗くて何も見えない。しかし、少しずつ目が慣れてくると周囲の物が見えるようになること。

順応にかかる時間は人それぞれではあるが、一般的に暗順応は明順応よりも長い時間が必要とされる。

色相環

ゲーテはこの考え方をもとに、独自の色の体系として色相環を構築した。

クリックで拡大

ゲーテは、まず「赤・黄・青」を三原色*さんげんしょくとし、赤を頂点、黄と青を両端に配置した三角形をつくった。

さらに、補色残像の実験で現れた色*赤に対して緑、黄に対して紫、青に対して橙が対角線上にくるように、緑を頂点、橙と紫を両端に配置した逆三角形を重ね合わせた。

こうして二つの三角形を組み合わせ、色相環*しきそうかんをつくった。

補色残像現象

クリックで拡大

補色残像現象*ほしょくざんぞうげんしょうとは、ある色を見続けたあとに、その補色が残像として知覚される現象である。

例えば、赤い円を約10秒間ジーッと見つめたあとに、白い背景を見ると青緑の円がうっすらと見えるなど、補色関係に基づいた視覚現象として知られている。

心理補色

心理補色*しんりほしょくとは、補色残像現象によって知覚される「見かけ上の補色」のことである。

つまり、実際に存在する色ではなく、視覚的に生じる残像の色である。

物理補色

物理補色*ぶつりほしょくとは、2つの補色関係にある色を混ぜ合わせたときに無彩色*白・グレー・黒になる関係のこと。

ニュートンへの批判

17世紀、イングランドの物理学者ニュートンはプリズム*透明ガラスの三角柱を用いて光*白色光を分解し、光は複数の色から成るという「物理的な色彩理論」を提示した。

これに対しゲーテは、色を光の物理現象としてだけでなく、人間の視覚や心理によって成立する現象として捉えた。

そのためニュートンが「光の構造」を扱ったのに対し、ゲーテは「色の知覚」を扱ったという点で、両者のアプローチは根本的に異なる。

同じ「色」を扱いながらも、この違いは現代の色彩学において、「物理的な色彩理論」と「知覚的な色彩理論」という二つの視点として整理されている。

profile

アイザック・ニュートン*Isaac Newton

イングランドの自然哲学者・数学者・物理学者・天文学者・神学者

ユリウス暦: 1642/12/25 – 1727/3/20
グレゴリオ暦: 1643/1/4 – 1727/3/31

りんごのエピソードで知られるニュートンは、万有引力の法則や微分積分法、さらにプリズムを用いた分光実験によるスペクトルの法則などを発見した。

万有引力の法則
万有引力の法則*ばんゆういんりょくのほうそくとは、宇宙のすべての物体は互いに引き合う力が働いているという考え方。

微分積分
微分積分*びぶんせきぶんとは、物の変化や量の変化を計算・解析するための数学のこと。

現代デザインとの関係

ゲーテの色彩論は、現代のデザインやアート教育にも大きな影響を与えている。

特に補色関係や色相環の考え方は、配色設計やビジュアルデザインの基礎として広く活用されている。

例えば、補色同士を組み合わせることで視覚的なコントラストを強調したり、色相環をもとに調和の取れた配色を設計する手法は、ポスターやWebデザイン、UI設計など多くの分野で用いられている。

また、美術教育においても、色の関係性を体系的に理解するための基本理論として扱われている。

THANKS

最後まで読んでくれた方はもちろん、途中までお付き合いいただいた方にも心から感謝いたします。
この記事が、あなたの「なぜ?」を見つけるほんの小さなヒントになりますように。

ひらめきの種色あそび見せかた