生活(人事)
衣食住、仕事、健康など人の暮らしに関する季語。
衣
あきあわせ
あきあはせ
肌寒く感じるようになった秋に、初めて着る裏地付きの袷の着物
秋の袷 あきのあわせ
後の袷 のちのあわせ
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学校行事
あきのえんそく
あきのゑんそく
秋晴れの日に、学校で運動や見学を目的として、教師の引率のもと、遠い所まで歩いて出かけること
学校行事としての遠足だけでなく、紅葉狩りやピクニックなど、秋の行楽全般を指す言葉としても使われる
秋遊 あきあそび
秋の野遊び あきののあそび)
秋のピクニック あきのぴくにっく
秋の山遊 あきのやまあそび
遠足 えんそく
衣
あきのふく
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秋に着る服の総称
秋も半ばを過ぎて、気温が下がってくる頃になると着るようになる、裏地の袷などがついた厚い布地で、落ち着いた色合いの服のこと
秋の帷子 あきのかたびら
秋服 しゅうふく
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住
あきのかや
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盆を過ぎても暑さはなかなか去らなくて、夏の間使っていた蚊帳を、秋になってもまだ吊るしていること
蚊帳の名残 かやのなごり
蚊帳の果 かやのはて
蚊帳の別れ かやのわかれ
蚊帳を干す かやをほす
九月蚊帳 くがつがや
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農事
からしなまく
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9月頃に芥子菜の種子を蒔くこと
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生活
ぎょうずいなごり
ぎやうずいなごり
夏の暑い時期に涼を取ったり、汗ばんだ体をきれいにしたりする行水を、秋の訪れとともに行わなくなること
行水の果 ぎょうずいのはて
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習俗 労働
くさどまり
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草刈りをする際に仮小屋を建てて寝泊まりする風習
草山 くさやま
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労働
けみ
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江戸時代に年貢の量を決めるために行われた稲の出来具合の調査
役人が村々を回り、その年の稲の生育状況を調べて年貢の割合を決定する
毛見の衆 けみのしゅう
毛見の日 けみのひ
毛見の賂い けみのまかない
毛見果 けみはて
検見 けみ、けんみ
坪刈 つぼがり
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芸能
じしばい
ぢしばゐ
収穫の終わったあとの祭りなどに、村人たちが演じる芝居
地歌舞伎 じかぶき
地狂言 じきょうげん
村歌舞伎 むらかぶき
村芝居 むらしばい
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農事
しゃくやくのねわけ
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9月中旬から10月上旬にかけて、繁殖*はんしょくのため芍薬を株分けすること
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労働
しょうじあらう
しょうじあらふ
夏の間、納戸などに仕舞っていた障子を取り出し、障子紙を貼りかえるために、水をかけて古い障子紙を剝がすこと
障子入るる しょうじいるる
襖入るる ふすまいるる
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労働
しょうじはる
しやうじはる
夏の間、納戸などに仕舞っていた障子を取り出し洗い、新しい障子紙を貼ること
障子の張替 しょうじのはりかえ
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労働
すすきうり
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8月十五夜に月に供えるためのススキや萩などを売ること
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農事
だいこんまく
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冬に収穫する秋蒔きの大根の種を蒔*まくこと
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住
たかむしろなごり
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秋が深まる頃に、簟*たかむしろ
/ 竹を細く割って編んだ敷き物を片づけること
簟の別れ たかむしろのわかれ
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労働
たけきる
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竹を伐採すること
秋から冬にかけては竹が休む時期で、竹が水分を吸い込まなくなり水分量が減るため、繊維*せんいが強くなることから、竹細工などを作るのに適した状態になる
笹竹刈る ささだけかる
竹を伐る たけをきる
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食
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秋に採れる帚木の実*ほうきぎのみに熱を加えて加工したもの
箒草の実 ほうきぐさのみ
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食
にごりざけ
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もろみを漉*こしていない白く濁*にごった酒
だくしゅ
どびろく
どぶろく
中汲 なかくみ
醪、諸醪、諸味 もろみ
醪酒 もろみざけ
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労働
のちのでがわり
のちのでがはり
旧暦8月2日に、年季奉公人*ねんき ぼうこうにん
/ 一定期間、主人のもとで働くことを契約した奉公人のことが入れ替わること
秋入奉公 あきいりぼうこう
秋代り あきがわり
秋の出代 あきのでがわり
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健康
のちのふつかきゅう
のちのふつかきう
春の二日灸*旧暦2月2日 と同様に、この日にお灸をすると効果が倍になり、一年を無病息災*むびょうそくさいで過ごせるという俗信がある
秋の二日灸 あきのふつかきゅう
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農事
はさ
はざ
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刈り取った稲の束を乾燥させるための木組み
稲掛 いねかけ
稲木、稲城 いなぎ
掛稲 かけいね
田茂木 たもぎ
稲積 にお
はさ木 はさき
はつき
はで
稲棒 ぼつち
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食
ひしこづけ
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秋にとれた小型のカタクチイワシを塩と米糠に漬け込んだもの
鯷干す ひしこほす
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食
ひずなます
ひづなます
サケなどの頭部の軟骨*なんこつを薄く切り、大根おろしを加えて膾*なますにしたもの
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健康
へちまのみず
へちまのみづ
化粧水、咳止め薬、やけどの治療などに用いる、ヘチマの茎の切り口から、採取する液体
特に、旧暦8月15日*中秋の名月の晩に採取したものが、最も効果があるという俗信がある
糸瓜引く へちまひく
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農事
ほうねん
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稲がよく実り、豊作になった年のこと
凶作 きょうさく
出来秋 できあき
豊の秋 とよのあき
不作 ふさく
豊作 ほうさく
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農事
ぼたんのねわけ
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9月中旬から下旬頃に、牡丹の良い株を選んで、繁殖のために移し植えること
牡丹植う ぼたんうう
牡丹根分 ぼたんねわけ
牡丹の接木 ぼたんのつぎき
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農事
まびきな
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大根・カブ・白菜・小松菜などを蒔くと芽が密集するので、芽の通風・採光を良くするために定期的に間引いたもの
虚抜き菜 うろぬきな
小菜 こな
小菜汁 こなじる
摘み菜 つまみな
中抜き菜 なかぬきな
菜間引く なまびく
抜菜 ぬきな
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農村行事
むしおくり
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夏の終わりから秋にかけて、稲などの農作物に害をなすイナゴなどの害虫を追い払うこと
稲虫送 いなむしおくり
実盛祭 さねもりまつり
田虫送 たむしおくり
虫追い むしおい
虫供養 むしくよう
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住
よしどしまう
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秋が深まる頃に、夏の間使った葭戸を取り外して、襖*ふすまや障子*しょうじに変えること
簀戸蔵う すどしまう
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労働
よはまぐり
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夜にハマグリを売り歩いたこと
特に9月の十五夜に、家々でハマグリの吸い物をつくり食べる風習があり、9月になると江戸の町々を毎晩、蛤売りが売り歩いていた
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