生活(人事)
衣食住、仕事、健康など人の暮らしに関する季語。
農事
あさまく
麻蒔く あさまく
布や綱、網などに使われる繊維を取るために栽培する 麻の種を撒くこと
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漁猟
あゆくみ
―
海で育った稚鮎が、春先に川をさかのぼってくるところを、網などですくってとること
汲鮎 くみあゆ
小鮎汲み、子鮎汲 こあゆくみ
稚鮎汲み ちあゆくみ
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神事
あわしままつり
―
3月3日に、和歌山県和歌山市加太にある淡嶋神社(あわしまじんじゃ)で行なわる「雛流し」の神事
粟島祭 あわしままつり
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農事
いもうう
―
3月から4月ごろに、里芋、八つ頭、唐の芋などの種芋を植えつけること
芋の芽 いものめ
藷苗 いもなえ
里芋植う さといもうう
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食
うこぎめし
―
ウコギ科の落葉低木 五加(うこぎ)の新芽を摘み採って塩茹でし、炊き立てのご飯に混ぜたもの
五加茶 うこぎちゃ
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労働
うまやだし
―
冬のあいだ厩で飼育していた牛馬を、草の萌え出す春になって野に放つこと
牧開き まきびらき
厩出し まやだし
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習俗
おらんだわたる
―
江戸時代に、長崎出島のオランダ商館長 カピタン・ドゥーフが書記、医師、通詞を伴って江戸に参府し、将軍に拝謁、貢ぎ物を献上した行事
オランダ下り、阿蘭陀下り おらんだくだり
オランダ渡り おらんだわたり
甲比丹渡る かぴたんわたる
紅毛渡る こうもうわたる
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労働
かきつくろう
かきつくろふ
雪の多い地方で、冬の間に雪や風雨で傷んだ垣根を、雪解けが終わる頃に修理すること
垣繕う かきつくろう
垣手入 かきていれ
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農事
かぼちゃまく
とうなすまく
4月下旬から5月下旬に、カボチャの種を撒くこと
南瓜植う かぼちゃうう
ぼうぶら蒔く ぼうぶらまく
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生活
がんぶろ
―
浜に打ち寄せられた木片を集めて風呂を焚く、青森県津軽の外ヶ浜付近の風習
秋に渡ってくる雁が、海上で羽を休めるために小枝を咥えてきて、春帰る時にまた持ってゆくと言われ、浜に残された小枝は日本で死んだ雁のものであるとして、供養のために小枝を拾って風呂を焚き入浴したとされる
雁供養 かりくよう
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農事
きくねわけ
―
春先に菊を根分すること
菊の根分 きくのねわけ
菊分つ きくわかつ
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労働
きたまどひらく
―
冬の間、寒さを防ぐために閉め切っていた北の窓を、温かくなってきた春に開け放つこと
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労働
きながし
―
山林において伐採した木材を山から下ろす際に利用する方法
冬の間に伐採しておいた木を、春になって雪解水などで水かさが増した谷川に落して流し、下流にある網場まで運ぶこと
網場 あば
管流し くだながし
修羅落し しゅらおとし
堰流し せきながし
鉄砲堰 てっぽうぜき
初筏 はついかだ
初筏 はついかだ
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農事
きのみうう
このみうう
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樫や檜、楢、椎など、様々な木の実を、春先に山や苗床に蒔いたり植えたりすること
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食
きのめあえ
―
季節の筍や茹で野菜に、山椒の芽をすりつぶし砂糖・白味噌を混ぜ合わせた木の芽味噌をからませて和えたもの
木の芽漬 きのめづけ
木の芽味噌 きのめみそ
山椒和 さんしょうあえ
山椒味噌 さんしょうみそ
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農事
きゅうりまく
―
春に胡瓜の種を蒔くこと
胡瓜植う きゅうりうう
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食
くさもち
―
柔らかい蓬(よもぎ)の新芽を加えて搗いた餅で、餡をくるんだ和菓子
草団子 くさだんご
草の餅 くさのもち
母子餅 ほうこもち
蓬餅 よもぎもち
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労働
くるまくむ
―
冬の間、納屋にしまっておいた、荷物の輸送に使われていた木製の人力荷車 大八車などを、春になってから組み立てること
車出す くるまだす
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農事
くわうう
くはうう
3月ごろに桑の苗木を植えること
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農事
くわとく
くはとく
冬の間に、雪や風による倒伏防止のために桑の枝を括っておいた藁を、春になって解くこと
桑ほどく くわほどく
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農事
けいとうまく
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ヒユ科の一年草 鶏頭の種を蒔くこと
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生活
こたつふさぐ
―
春になって暖かくなり、使わなくなった炬燵をしまうこと
床に炉を設け掘りごたつを設置していた所を、板で塞いで部屋を広く使えるようにすること
炬燵の名残 こたつのなごり
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労働
ことはじめ
―
旧暦 2月8日
一年の祭事・農事を始める日
従兄煮 いとこに
おこと
お事汁 おことじる
御事始 おことはじめ
事八日 ことようか
むしつ汁 むしつじる
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農事
こなぎつむ
―
ミズアオイ科の一年草 小水葱の若葉を摘むこと
こなぎ摘む こなぎつむ
細水葱 ささなぎ
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食
きのめづけ
こねめづけ
―
木の芽(春先に芽吹く若芽、山椒の新芽)を漬けたもの
あけびの芽漬 あけびのめづけ
木の芽煮 きのめだき
萌え漬 もえづけ
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芸能
このはなおどり
―
江戸期から明治期にかけ大阪市西区堀江に存在した遊郭の芸者たちが、堀江演舞場を舞台に演じた春の踊り
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農事
ごぼうまく
―
秋に収穫するゴボウの種を春に蒔くこと
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農事
さしき
―
発根を促すために、木の枝の先端部分を切って土や砂に挿したもの
挿床 さしどこ
挿葉 さしば
挿穂 さしほ
挿芽 さしめ
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食
さんしょうのかわ
さんせうのかは
食べるための山椒の木の皮
からかわ
辛皮煮 からかわに
山椒の皮 さんしょのかわ
山椒の皮剥ぐ さんしょうのかわはぐ
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習俗
しがつばか
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4月1日
この日に限り、罪のない悪戯や軽い噓で人を驚かしても許されるという風習
エープリル・フール
万愚節 ばんぐせつ
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農事
しょうぶねわけ
しやうぶのねわけ
春に菖蒲を根分すること
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食
じろうしゅ
ぢろうしゅ
春の社日(春分・秋分に最も近い前後の戊の日)に、土地の神に供える酒
春の社日に飲む酒
この日に酒を飲むと耳の障害が治ると言われている
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食
しろざけ
―
雛祭りをお祝いするお酒
白酒売 しろざけうり
白酒徳利 しろざけとくり
白酒瓶 しろざけびん
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習俗
しんきゅう
しんきふ
新しい学年を迎え、それぞれ一年上のクラスになること
日本では、ほとんどの学校が4月に新学年を迎えている
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習俗
しんしゃいん
しんしやゐん
会社に新しく入った社員
就職 しゅうしょく
就職期 しゅうしょくき
集団就職 しゅうだんしゅうしょく
新入社員 しんにゅうしゃいん
入社式 にゅうしゃしき
入社試験 にゅうしゃしけん
初出社 はつしゅっしゃ
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衣
すてずきん
すてづきん
冬の間、寒さを防ぐため使っていた頭巾を、春になって着用しなくなること
頭巾脱ぐ ずきんぬぐ
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習俗
そつぎょう
―
学業が終了して学校を去ること
日本では、ほとんどの学校が年度末の3月に卒業式が行われている
卒園 そつえん
卒業歌 そつぎょうか
卒業期 そつぎょうき
卒業式 そつぎょうしき
卒業証書 そつぎょうしょうしょ
卒業生 そつぎょうせい
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労働
そりしまう
―
雪解けを迎えた春に、冬の間使ったソリを物置や納屋などにしまうこと
スキーしまう
スケートしまう
捨橇 すてぞり
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習俗
だいしけん
―
進級や卒業するための試験
学年試験 がくねんしけん
及第 きゅうだい
進級試験 しんきゅうしけん
卒業試験 そつぎょうしけん
入学試験 にゅうがくしけん
落第 らくだい
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農事
たねもの
―
穀類、野菜、草花の種類のこと
種売 たねうり
種袋 たねぶくろ
種物屋 たねものや
花種 はなだね
物種 ものだね
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農事
つぎき
―
樹種を改良し、結実をよくするために、芽の出た木の枝を切って、同類異種の木の幹に接ぎ合わせること
砧木 だいぎ
切接
接木苗 つぎぎなえ
接穂 つぎほ
根接 ねつぎ
芽接 めつぎ
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芸術
つりがま
―
自在鉤(じざいかぎ)などにつり下げて火にかける釜
茶道のしきたりのひとつ
冬の間、五徳(ごとく)にすえている釜を、春になったら五徳を取り除いて自在鉤に吊るすこと
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食
でんがく
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串刺ししたこんにゃくや豆腐などに、味噌を付けて焼いた料理
木の芽田楽 きのめでんがく
田楽刺 でんがくざし
田楽豆腐 でんがくどうふ
田楽焼 でんがくやき
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衣
どうぎぬぐ
―
暖かくなったので、胴着を着用しなくなること
胴着とは、襦袢(じゅばん)と上着の間に着けていた防寒用の衣服
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娯楽
とうぎゅう
―
牛同士が角を突き合わせて勝負を争うもの
牛合せ うしあわせ
牛角力 うしずもう
牛の角突き うしのつのつき
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娯楽
とりあわせ
とりあはせ
雄鶏同士を闘わせて勝負を争うもの
上巳の日(3月3日)に宮中行事として、近世まで行われていたことから春の季語となっている
賭鶏 かけどり
勝鶏 かちどり
闘鶏 とうけい
闘鶏師 とうけいし
鶏の蹴合 とりのけあい
負鶏 まけどり
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労働
とりき
とりぎ
―
植物の人工的な繁殖方法のひとつ
親木の枝から発根をさせて、新しい株を育成すること
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農事
なえぎうう
なへぎうう
3月から4月初旬に、杉や檜などの苗木を植えること
植林 しょくりん
苗植 なえうえ
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農事
なえどこ
なへどこ
種まきから植えつけまでの間、適切な大きさの苗に育てるところ
温床 おんしょう
種床 たねどこ
苗障子 なえしょうじ
苗圃 びょうほ
播床 まきどこ
冷床 れいしょう
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農事
なえふだ
なへふだ
種を蒔いたり苗を植えた時に立てておく、名称、品種などを書いた札
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農事
ながいもうう
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長芋の種芋を土に植え付けること
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農事
なすびまく
なすまく
―
春に茄子の種をまくこと
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農事
ねわけ
―
水はけが悪くなって根腐れしたりするのを防止するために、春に新しい芽が出た植物の古い株を分けて繁殖させること
株分 かぶわけ
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習俗
のうぜいき
―
納税者が1年間所得などの申告し、納税を行うための期間
税申告 ぜいしんこく
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農事
はぎねわけ
―
春になって新芽が出てきた萩の古株を分けること
萩植う はぎうう
―
芸術
はつうましばい
はつうましばゐ
江戸時代の2月の最初の午の日に、下まわりの俳優や劇場の表方・裏方などが中心になって行なわれていた余興の芝居
初午狂言 はつうまきょうげん
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農事
はなだねまく
―
夏から秋に咲く草花の種を蒔くこと
―
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習俗
はるやすみ
―
学年末の試験が終わり、新学年が始まる4月までの休み
年度替り ねんどがわり
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食
ひしもち
―
紅・白・緑の3色の餅を菱形に切り重ねた、雛壇に供える餅菓子
菱餅台 ひしもちだい
雛の餅 ひなのもち
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健康
ふつかきゅう
―
二日灸は旧暦の2月2日と8月2日にお灸をすえると、いつもの何倍もの効果が期待でき、無病息災で暮らせるという俗信
灸据え日 きゅうすえび
春の灸 はるのきゅう
春の二日灸 はるのふつかきゅう
二日灸 ふつかやいと
二日やいと ふつかやいと
やいと日 やいとび
秋の二日灸 あきのふつかきゅう
農事
へちままく
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3月下旬に糸瓜の種をまくこと
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食
ほしがれい
ほしがれひ
カレイの内臓やえらを取り去ってから、薄塩をして天日に干したもの
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食
むしがれい
むしがれひ
カレイを塩水に浸して蒸してから、陰干しにしたもの
柳蒸 やなぎむし
柳蒸鰈 やなぎむしがれい
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労働
めばりはぐ
―
冬の間、寒気を防ぐためにしていた窓や壁の目貼を、春になって剝がすこと
昔は建てつけの良くない窓や戸から隙間風が入るのを防止するために、紙などで目貼りをした
目張剥ぐ めばりはぐ
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農事
ものだねまく
―
秋咲きの草花や野菜、果樹などの種を蒔くこと
朝顔蒔く あさがおまく
胡瓜蒔く きゅうりまく
鶏頭蒔く けいとうまく
茄子蒔く なすまく
花種蒔く はなだねまく
夕顔蒔く ゆうがおまく
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住
やねがえ
―
雪や風で傷んだ茅葺屋根を、春に修繕すること
葺替 ふきかえ
屋根替 やねかえ
屋根繕う やねつくろう
屋根葺く やねふく
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農事
ゆうがおまく
ゆふがほまく
3月下旬に、ウリ科の蔓性一年草 夕顔の種をまくこと
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労働
ゆきがこいとる
ゆきがこひとる
雪や風から樹木や建物を守るために施した囲いを、春になって取り外すこと
冬構解く ふゆがまえとく
冬囲とる ふゆがこいとる
雪垣解く ゆきがきとく
雪吊解く ゆきづりとく
雪除とる ゆきよけとる
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労働
ゆきわり
―
凍結した雪を割って取り除き、地表を露出させること
雪切 ゆききり
雪切人夫 ゆききりにんぷ
雪切夫 ゆききりふ
雪消し ゆきけし
雪堀 ゆきほり
雪割人夫 ゆきわりにんぷ
雪割夫 ゆきわりふ
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農事
よめなつむ
―
野原や道端で見かけるキク科の多年草 嫁菜の若芽を摘むこと
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食
わさびづけ
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山葵の茎や葉を刻んで、酒粕とすりおろした根と一緒に漬けたもの
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食
わらびもち
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ワラビの根から採った澱粉(でんぷん)で作った餅
黄粉をまぶしたり、黒蜜をかけたりして食べる
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