生活(人事)
衣食住、仕事、健康など人の暮らしに関する季語。
農事
あかねほる
―
染料や薬用に用いられる、茜の根を掘ること
薬採る くすりとる
薬掘る くすりほる
薬草掘る やくそうほる
―
生活雑貨
あきおうぎ
あきあふぎ
残暑に用いる扇や団扇
秋団扇 あきうちわ
団扇置く うちわおく
扇置く おうぎおく
捨団扇 すてうちわ
捨扇 すておうぎ
忘れ団扇 わすれうちわ
忘れ扇 わすれおうぎ
―
食
あきがわき
―
夏バテで食欲が落ちていた体調が、秋になりすっかり回復し食欲が増して、食べても食べても食欲が満たされないこと
秋乾き あきがわき
―
住
あきすだれ
―
秋になっても取り外されずに吊り下げられている簾*すだれ
簾納む すだれおさむ
簾しまう すだれしまう
簾とる すだれとる
簾の名残 すだれのなごり
簾の別れ すだれのわかれ
簾外す すだれはずす
―
あきのうれい
あきのうれひ
秋になってなんとなく湧く、愁いある心
秋愁い あきうれい
秋愁 しゅうしゅう、しうし
―
労働
あきのおおそうじ
あきのおほさうじ
秋に行う大掃除
秋になると夏に比べて暑さが落ち着き、快適な気温で掃除がしやすい
―
―
住
あきのかや
―
秋になってもまだ吊っている蚊帳
秋蚊帳 あきがや
秋の幮 あきのかや
蚊帳の果 かやのはて
蚊帳の名残 かやのなごり
蚊帳の別れ かやのわかれ
九月蚊帳 くがつがや
―
娯楽
あきののあそび
―
秋の野に出かけて、自然を楽しんだり、草花を観賞したり、ゆったりとした時間を過ごすこと
秋遊 あきあそび
秋の山遊 あきのやまあそび
秋のピクニック あきのぴくにっく
秋の遠足 あきのえんそく
―
生活
あきのひ
―
秋の夜に灯す明り
秋の灯 あきのひ
秋灯、秋燈 しゅうとう
燈下親し とうかしたし
燈下親しむ とうかしたしむ
燈火の秋 とうかのあき
―
衣
あきばおり
―
秋に着る羽織
―
―
生活雑貨
あきふうりん
―
秋になっても出しっぱなしにされている風鈴
秋の風鈴 あきのふうりん
―
農事
あきまき
―
秋に植物の種をまくこと
―
―
漁猟
いわしひき
―
引網を引いてイワシを捕獲すること
鰯網 いわしあみ
鰯船 いわしぶね
―
スポーツ 学校行事
うんどうかい
うんどうくわい
学校や会社、地域などで行われる秋の運動競技会
秋季大運動会 しゅうきだいうんどうかい
体育祭 たいいくさい
―
農事
かかし
―
雀やカラスなどから稲を守るために、田んぼや畑に立てられた藁などでつくる人形
おどし
おどせ
おどろかし
嗅がし かがし
かがせ
鎌しめ かましめ
捨案山子 すてかかし
そめ
とぼし
とうぼし
焼しめ やきしめ
―
農事
かけたばこ
―
秋に採取したタバコの葉を、縄に挟んで屋内や軒先につるし乾燥させること
今年煙草 こぞたばこ、ことしたばこ
新煙草 しんたばこ
煙草刈る たばこかる
煙草干す たばこほす
縄煙草 なわたばこ
若煙草 わかたばこ
―
農事
かひや
かびや
―
稲などが実ってきた頃、山の田畑が鹿や猪に荒されるのを防ぐために、獣が嫌いな臭いのあうる火を焚く番小屋
鹿小屋 ししごや
鹿火屋守 かひやもり
―
習俗
かましめ
―
鹿や猪が田畑を荒らすのを防ぐために、家内に鎌*かまや鍬*くわで作った人形をたててた、一種のおまじない
―
―
健康
がんがさ
―
雁が来るころにばると痒*かゆくなる湿疹*しっしんの一種
雁瘡 がんそう
―
農事
くすりほる
―
山野で薬草の根を掘ること
茜掘る あかねほる
薬採る くすりとる
薬草採 やくそうとり
薬草掘る やくそうほる
―
漁猟
くだりやな
―
産卵を終えて川を下る魚を獲るための簗*やな
―
―
農事
ごぼうひく
ごばうひく
春蒔のゴボウを晩秋に収穫すること
牛蒡 ごぼう
牛蒡の実 ごぼうのみ
牛蒡掘る ごぼうほる
―
住
ししがき
―
猪や鹿などが田畑に侵入するのを防ぐために、竹や木の枝で粗く編んだ垣
犬垣 いぬがき
ししぐね
鹿小屋 ししごや
―
農事
しぶとり
―
渋柿をつき砕いて、渋を抽出*ちゅうしゅつすること
抽出した柿渋には、防水・防腐・防虫・抗菌などの効果があり、古くから渋紙や番傘などの塗料や染料、民間薬などとして利用されている
木渋槽 きしぶおけ
今年渋 ことししぶ
渋糟 しぶかす
渋搗く しぶつく
―
しゅうい
しうい
心が秋の天候や風景に揺れ動くこと
秋の心 あきのこころ
秋の情 あきのじょう
秋情 しゅうじょう
―
しゅうきょう
しうきよう
秋の様々な風情*ふぜいに、心を動かされるおもしろさ
秋の遊び あきのあそび
―
農事
しゅうこう
しうかう
秋の稲刈りした後に、田畑を耕すこと
秋起し あきおこし
―
しゅうし
しうし
秋のころに感じるものさびしい思い
秋あわれ あきあわれ
秋さびし あきさびし
秋懐 しゅうかい
傷秋 しょうしゅう
秋容 しゅうよう
―
衣
しんぎぬ
―
その年の繭*まゆから採れた絹糸で織った絹織物
今年絹 ことしぎぬ
新機 しんはた
―
住
そうず
そふづ
水を竹筒に引き込んで、この水の重みで、石などを傾いた竹が叩いて音が出るような装置
兎鼓 うさぎつづみ
唐臼 からうす
僧都 そうず
ばった
ばったんこ
山田の僧都 やまどのそうず
―
農事
たもり
―
稲が実ってきたころに、鳥獣に田を荒らされないように番をすること
または、その番をするその人
稲番 いなばん
小田守る おだもる
田の庵 たのあん
田番小屋 たばんごや
―
農事
たわらあみ
―
稲刈りが終った後に、新藁で俵を編むこと
米俵編む こめだわらあむ
炭俵編む すみだわらあむ
俵網 たわらあみ
―
農事
とりおどし
―
実った農作物を荒らす鳥を脅して追い払うための仕掛け
威銃 おどしづつ
威し銃打つ おどしづつうつ
―
農事
なるこ
―
実った農作物を荒らす猪や鳥などを脅して追い払うための仕掛け
鳴子縄 なるこなわ
鳴子守 なるこもり
鳴竿 なるさお
ひきいた
引板 ひた
―
娯楽
はぜつり
―
秋にハゼを竿釣りすること
鯊舟 はぜぶね
―
労働
むしうり
―
縁日の夜店で、蛍や鈴虫、松虫など秋に鳴く虫を売ること
または、それを業とする人
虫屋 むしや
―
生活
やがく
―
夜間に授業を行なう定時制の高等学校や大学などのこと
夜間学校の授業自体は四季を通して行われ季節感はないが、涼しくなり夜の長い秋は、灯火の下で落ち着いて勉強するのに適しているので、俳句では秋の季題として詠まれる
夜学子 やがくし
夜学生 やがくせい
夜学校 やがっこう
夜間学校 やかんがっこう
夜習 よならい
―
農事
やきしめ
―
稲が実ってきた田畑を荒らす鳥・獣をおどかして追うために、切り取った馬の尾などを焼き悪臭を出すもの
―
―
食
やしょく
―
夜に食べる軽食
秋は、日の出から日の入りまでの時間が四季の中で一番短くなるため、鍋をかけて夜食をとりながら昼間にできなかった仕事の続きをする
夜食粥 やしょくがゆ
夜食喰う やしょくくう
夜食どき やしょくどき
夜食とる やしょくとる
―
労働
よなべ
―
昼間から引き続いて、夜まで仕事をすること
夜間に仕事をすること
秋は、日の出から日の入りまでの時間が四季の中で一番短くなり、昼間にできなかった仕事の続きなど、夜の仕事が多くなる
夜業 やぎょう
夜仕事 よしごと
―