節句
節句*せっくとは、日本の伝統的な季節の節目を祝う行事のことで、季節の変わり目を感じながら、家族や地域で健康や豊穣*ほうじょうを願う大切な文化として、今も多くの人々に受け継がれている。
奈良時代ごろに中国から伝わった「陰陽五行説*いんようごぎょう」を由来とし、無病息災*むびょうそくさいや豊作、子孫繁栄*しそんはんえいを願って、お供えものや邪気払いが行われてきた。
もともとは年間にさまざまな節句があり、日本の宮廷では「節会*せちえ」と呼ばれる宴会が催される年中行事だった。貴族社会から武家の時代を経て庶民にも広まり、江戸時代には幕府が重要な節句を公式の祝日に制定。これが現代の「五節句」の起源となっている。
五節句
五節句*ごせっくとは、古代中国から伝わった風習が日本の祭礼や風習と結びつき、江戸時代に幕府が「5つの節句」を公的な行事・祝日として定めたもの。
人日の節句
人日の節句*じんじつのせっくとは、前年の厄を祓*はらい、新たな一年の無病息災を祈願*きがんする節句のこと。
1月7日
七草の節句
春の七草
羽子板
破魔弓
七草粥
春の七草
中国の「七種菜羹*ななしゅのさいこう / しちしゅのさいこう」が平安時代に伝わり、「芹・薺・御形・繁縷・仏の座・菘・蘿蔔」を「春の七草*はるのななくさ」という。
古くから「1月7日」の朝に「七草粥*ななくさがゆ
/ 春の七草を刻んで入れたお粥」を食べて邪気を祓い、一年の無病息災と五穀豊穣*ごこくほうじょうを祈る風習として、江戸時代ごろから一般に広まった。
芹*せりとは、田んぼや川べり、湿地に自生するセリ科の多年草のこと
薺*なずなとは、田畑や荒れ地、道端など至る ところに自生するアブラナ科の越年草のことで、「ペンペン草」ともいう
御形*ごぎょうとは、道端や野原、河原などに自生するキク科の越年草のことで、「母子草*ははこぐさ」ともいう
繁縷*はこべらとは、道端や野原、荒れ地などに自生するナデシコ科の越年草のこと
仏の座*ほとけのざとは、道端や畑などに自生するオオバコ科の多年草のことで、「大葉子*おおばこ」ともいう
菘*すずなとは、根菜として食されることが多いアブラナ科の越年草のことで、「蕪*かぶ」ともいう
蘿蔔*すずしろとは、漢根菜として食されることが多いアブラナ科の越年草のことで、「大根*だいこん」ともいう
上巳の節句
上巳の節句*じょうしのせっくとは、女の子の健やかな成長を祈願*きがんする節句のこと。
古代中国の3月上旬の「巳の日*みのひに、川で身を清め不浄*ふじょう / 心身の汚れていることを祓*う習慣があり、のちに「3月3日」に行われるようになった。
日本には、遣隋使*けんずいしを通じて伝わり、紙でつくった人形で体を撫*なで、「穢*けがれを移して川や海に流し、身を清める「流し雛」の儀式として現在も残っている。
3月3日
桃の節句 / 雛祭り
桃
雛人形
菱餅
白酒*甘酒
桃酒
ひなあられ
チラシ寿司
など
雛祭り
雛祭り*ひなまつりとは、女の子の健やかな成長を願う伝統行事のこと。
女の子供がいる家庭では、雛人形*ひなにんぎょうを飾り、白酒や菱餅*ひしもち、あられ、桃の花などを供えて祀*まつる風習がある。
端午の節句
端午の節句*たんごのせっくとは、、男の子の健やかな成長を祈願*きがんする節句のことで、五節句の中で唯一「祝日」として残っている節句。
「端」は「ものごとの始まり」、「午」は「五」を意味し、もともと「端午」とは「月の始めの午の日*
/ 毎月5日」を指した言葉だった。その中でも数字が重なる「5月5日」を「端午の節句」と呼ぶようになった。
もともとは女性が行う「田植え前の身を清める神聖な儀式」だったが、鎌倉時代以降、5月に咲く「菖蒲*しょうぶ」が武道を重んじる「尚武*しょうぶ」と同音であることから武家の節句となり、男児の成長を祝う行事へ変わった。甲胄*かっちゅうや武者人形、そして鯉のぼりを飾る風習が定着し、江戸時代には武士以外の庶民にも広まった。
5月5日
菖蒲の節句
菖蒲
鎧兜
甲冑
五月人形
鯉のぼり
菖蒲酒
柏餅
ちまき
など
五月人形
五月人形*ごがつにんぎょうとは、「5月5日」の端午の節句に飾る人形のこと。男の子の誕生と健やかな成長、強くたくましく育つようにと願いを込めている。
七夕の節句
七夕の節句*しちせきのせっくとは、牽牛星*けんぎゅうせい
/ 彦星と織女星*しょくじょせい
/ 織姫の伝説に由来し、中国古来の女性の針仕事の上達を願う行事「乞巧奠」と、日本古来の豊作を祈る「棚機津女*たなばたなつめ」の信仰が融合して生まれたもの。
乞巧奠*きこうでん、きっこうでんとは、中国に古くから伝わる「牽牛星*けんぎゅうせい / 彦星と織女星*しょくじょせい / 織姫の二つの星が天の川を渡って、年に一度再会を許される」という星伝説に由来した、旧暦 7月15日手芸の上達を願う行事として行われてきた盆行事のこと。
これに対して、日本の七夕行事は、水辺につくられた機織り機で衣を織り、7月7日の夜に神様を迎えて禊*みそぎの儀式を行うという「棚機津女」の信仰と、奈良時代に日本に伝わったとされる中国の「乞巧奠」が融合して成立したとされている。
7月7日
笹の節句
七夕
竹
七夕飾り
素麺
七夕
七夕*たなばたとは、神様によって離れ離れにされた彦星と織姫の夫婦が、年に一度だけ天の川で会うことを許されたという、中国に伝わる「七夕伝説」にまつわる行事のこと。
吹き流し*ふきながしとは、、織姫が織る糸を表し、織姫のように裁縫が上手になるように願う飾り。
折鶴*おりづるとは、健康や長寿、家内安全を願う飾り。
網*あみとは、交互に切れ込みを入れて引き延ばした網は魚を捕る網を表し、豊作や大漁を願う飾り。
巾着*きんちゃくとは、巾着の形を作ったもので、お財布を表し、金運や無駄遣い防止を願う飾り。
紙衣*かみことは、着物の形を模した飾りで、裁縫が上手になるように願う飾り。
くずかごとは、網と同じように切れ込みを入れて作るかごは、ものを大切にする心を育てることを願う飾り。
短冊*たんざくとは、「青*緑・赤・黄・ 白・黒*紫」の五色の短冊にお願い事を書く飾り。
重陽の節句
重陽の節句*ちょうようのせっくとは、不老長寿*ふろうちょうじゅや繁栄*はんえいを祈願*きがんする節句のこと。「菊の節句」とも呼ばれている。
その由来は古代中国の「陰陽五行説」にあり、奇数は縁起の良い「陽の数」とされ、その中でも最大の陽数である「9」が重なる日は、最も運気が高まる日と信じられてきた。一方で、陽の気が強すぎるあまり、かえって不吉なことが起きやすいとも考えられたため、この日には邪気を祓*はらう行事が行われるようになった。
古来より、菊は邪気を払い長寿をもたらす霊草と信じられてきたため、菊の香りを移した「菊酒」を飲んだり、前夜から菊を綿で包み、朝露の香りを移した「被綿*きせわたで」で体を清めたりする風習が今もなお、日本の季節の行事として親しまれている。
9月9日
菊の節句
菊
後の雛
栗飯
菊酒
など
後の雛
後の雛*のちのひなとは、「桃の節句」で飾った雛人形を、半年後の「重陽の節句」の時に、虫干しを兼ねて再び飾り、健康や長寿、厄除けなどを願う風習のこと。
