生活(人事)
衣食住、仕事、健康など人の暮らしに関する季語。
農事
あきおさめ
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秋の農作物の収穫
秋収め あきおさめ
秋振舞 あきふるまい
秋忘 あきわすれ
出来秋 できあき
米秋 べいしゅう
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労働
あきおち
―
秋になって、予想より米の収穫が少ないこと
秋落相場 あきおちそうば
秋高 あきだか
秋高相場 あきだかそうば
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芸能
あききょうげん
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9月に行う歌舞伎興行
お名残狂言 おなごりきょうげん
九月狂言 くがつきょうげん
九月芝居 くがつしばい
名残狂言 なごりきょうげん
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住
あきのろ
―
秋に暖を取るためのもの
秋炉 しゅうろ
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農事
あしかり
―
枯蘆*かれあしを刈り取る作業
葦刈 あしかり
蘆刈る、葦刈る あしかる
蘆舟、葦舟あしぶね
刈蘆、刈葦 かりあし
蘆舟、葦舟 かりぶね
蘆刈女、葦刈女 あしかりめ
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生活
あしび
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暖をとるために、刈り取った蘆*あしを焚いた火
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漁猟
あじろうち
―
杭*くいなどを川や湖に打って、晩秋から冬にかけて魚を捕るしかけを作ること
網代木打つ あじろぎうつ
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食
あたためさけ
あたためざけ
ぬくめさけ
ぬくめざけ
温めた日本酒
旧暦9月9日の重陽の節句*ちょうようのせっくに、酒を温めて飲むと病気にかからないとされる言い伝えがある
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農事
いねかり
―
稔った*みのった稲を秋に刈り取ること
秋師 あきし
秋女 あきおんな
秋田刈る あきたかる
稲馬 いなうま
稲車 いなぐるま
稲刈鎌 いねかりがま
稲刈機 いねかりき
稲刈る いねかる
稲積む いねつむ
稲舟 いなぶね
陸稲刈 おかぼかり
晩稲刈 おくてかり
小田刈る おだかる
鎌はじめ かまはじめ
刈上の節供 かりあげのせっく
刈上餅 かりあげもち
刈稲 かりいね
田刈 たかり
収穫 とりいれ
中稲刈 なかてがり
夜田刈 よるたかり
早稲刈 わせがり
稲 いね、いな
稲扱 いねこき
稲干す いねほす
新藁 しんわら
稲架 はざ
籾 もみ
藁塚 わらづか
農事
いねこき
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稔った*みのった稲穂から籾*もみをこき落すこと
稔った稲穂から籾をこき落す道具
稲埃 いなぼこり
稲打 いねうち
稲扱機 いねこきき
稲扱筵 いねこきむしろ
脱穀 だっこく
脱穀機 だっこくき
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食
―
―
アユの内臓の塩辛
子うるか こうるか
苦うるか にがうるか
臓うるか わたうるか
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漁猟
おとり
をとり
秋の小鳥の狩で、仲間の鳥をおびき寄せるために使う鳥
囮籠 おとりかご
囮番 おとりばん
囮守 おとりもり
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農事
かやかる
―
晩秋に、茅葺き屋根*かやぶきやねの材料として使われるススキ、チガヤなどを刈り取ること
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食
からすみ
ぼらこ
―
ボラの卵巣
ボラ・タイ・サワラなどの卵巣*らんそうを塩漬けにし、天日干しで乾燥させた珍味
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食
きくなます
―
食用菊の花びらを茹でて、くるみ和えや三杯酢*さんばいず
/ 酢、醤油、砂糖(みりん)を混ぜた、合わせ調味料)、胡麻和えにしたもの
菊鱠 きくなます
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生活雑貨
きくちん
きくまくら
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乾燥させた菊の花びらを詰めた枕
香りがよく、頭痛や目の病いなどに効能があるとされる
菊枕 きくちん
菊の枕 きくのまくら
幽人枕 ゆうじんちん
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労働
きぬた
―
棒や杵*きねなどで布を和らげるために打つ台
紙砧 かみきぬた
砧盤 きぬたばん
砧の槌 きぬたのつち
葛砧 くずきぬた
衣打つ ころもうつ
小夜砧 さよぎぬた
して打つ してうつ
擣衣 とうい
遠砧 とおぎぬた
夕砧 ゆうぎぬた
宵砧 よいきぬた
藁砧 わらぎぬた
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食
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―
秋田県の郷土料理
炊いたご飯を半潰して杉の棒に巻き付け、焼き上げたもの「たんぽ」を食べやすい大きさに切って、鶏肉、ゴボウ、芹などともにだし汁で煮て食べる
たんぽ串 たんぽくし
たんぽ鍋 たんぽなべ
たんぽ餅 たんぽもち
やま餅 やまもち
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農事
くずほる
―
葛粉*くずこをつくるために、葛の根を掘ること
葛根掘る くずねほる
葛引く くずひく
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漁猟
くずれやな
くづれやな
秋も深まり、漁期が過ぎて使われなくなった下り梁を、洪水や風雨によって壊れたまま放置してあるもの
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生活
くまだな
―
熊が樹上に棚のようなものをつくること
熊が好物の団栗や栗の実を食べるときに、樹上で周囲の枝を折り曲げて座る場所をつくる
熊栗棚を架く くまくりだなをかく
熊館 くまだち
熊の栗棚 くまのくりだな
熊の棚、熊の架 くまのたな
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食
くりめし
―
秋に収穫されたむき栗と白米を一緒に炊き込んだご飯
栗強飯 くりおこわ
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農事
くわくくる
くはくくる
養蚕*ようさんが終わった後に、枯れてきた桑の枝をまとめて藁*わらで束ねる作業
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農事
げんげまく
―
田に肥料として、紫雲英*げんげ
/ 蓮華草の種を蒔くこと
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食
こしゅ
ふるざけ
―
新酒が出回ってもまだ残っている前年の酒
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漁猟
ことりあみ
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小鳥を捕えるのに用いる網
霞 かすみ
霞網 かすみあみ
小鳥狩 ことりがり
高擌 たかはご
鳥屋 とや
鳥屋師 とやし
鳥屋場 とやば
昼天 ひるてん
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食
さるざけ
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猿がつくったといわれる酒
猿が蓄えていた木の実が、樹木の空洞*くうどうや岩の窪み*くぼみに溜まった雨水と混ざって、自然に発酵*はっこうして酒となったもの
人が飲んだという記録があるようだが、実際に存在するかどうかは定かではなく、空想上の存在として季語になっている
猴酒 ましらざけ
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生活
しいしば
しひしば
椎の小枝
椎の小枝を拾い集め、束にして保存し、冬の焚きつけや垣根などに利用される
柴の小枝 しばのこえだ
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食
しんこうじ
しんかうじ
その年の秋に収穫された米で作られた麹
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食
しんしゅ
―
その年の新米で醸造*じょうぞうした酒
昔は、新米が穫れるとすぐに造っていたので、秋の季語として扱われているが、現在は12月から翌年2月頃までに仕込む「寒造り*かんづくり」が主流となっている
新走 あらばしり
利酒 ききざけ
今年酒 ことしざけ
新酒糟 しんしゅかす
聞酒 もんしゅ
早稲酒 わせざけ
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食
あらそば
しんそば
―
その年の秋に収穫されたばかりの蕎麦
蕎麦の実が熟すより 1か月ほど早く刈り取った蕎麦粉で作った蕎麦
秋蕎麦 あきそば
走り蕎麦 はしりそば
初蕎麦 はつそば
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食
しんまい
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10月ころに出回る、その年に収穫した米
新糠 しんぬか
新糯 しんもち
早稲の飯 わせのめし
関連季語
古米 こまい
古古米 ここまい
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農事
しんわら
―
秋に収穫した稲を刈り取って乾燥させたもの
今年藁 ことしわら
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農事
せんぶりひく
―
晩秋に、山野に自生しているセンブリを引き抜き採取すること
昔から胃腸の薬草として利用され、乾燥したセンブリの葉や茎を1000回煎じてもまだ苦味が残ると言われている
千振採る せんぶりとる
千振干す せんぶりほす
当薬引く とうやくひく
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農事
きのこがり
たけがり
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秋に山林に入り、食用になるキノコを採ること
茸籠 きのこかご
茸採り きのことり
茸筵 たけむしろ
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農事
たねとり
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花壇やかき根に咲いていた草花の種を、秋の晴れた日に採り、乾燥させて一種ずつ袋に納めて保存すること
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食
つるしがき
―
渋柿を皮をむいて紐で吊るし、乾燥させて甘くしたもの
甘干 あまぼし
柿吊す かきつるす
柿干す かきほす
串柿 くしがき
枯露柿 ころがき
白柿 しろがき
釣柿 つりがき
干柿 ほしがき
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農事
つるたぐり
―
秋に収穫を終えた瓜や豆類の枯蔓*かれづるを取り除くこと
末引 すえひき
蔓切 つるきり
蔓引 つるひき
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農事
とくさかる
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木材や器を磨くのに用いられる木賊を刈り取ること
砥草刈る とくさかる
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食
とろろじる
―
長芋や>自然薯(*じねんじょ、大和芋などをすりおろしてだし汁と合わせたもの
薯粥 いもがゆ
薯汁 いもじる
蕎麦とろ そばとろ
とろろ
薯蕷汁 とろろじる
麦とろ むぎとろ
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農事
なたねまく
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菜種油*なたねあぶらを採るための菜の花の種を蒔くこと
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―
食
むかごめし
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山芋の葉の根元にできる珠芽*しゅが
/ 養分を蓄えて肥大化した芽を炊き込んだご飯
薯子飯 いもごめし
ぬかご汁 ぬかごじる
ぬかご飯 ぬかごめし
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娯楽
ねづり
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浅い海底の岩礁*がんしょうや州*すなどに棲息*せいそくする魚を釣ること
岸釣 きしづり
根魚 ねうお
根魚釣 ねうおづり
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衣
のちのころもがえ
のちのころもがへ
旧暦10月1日の衣替え
夏服から冬から春に着用する冬服に替えること
秋去り衣 あきさりごろも
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娯楽
ばいまわし
―
貝殻を独楽*こまのようにして遊ぶこと
海螺打ち ばいうち
貝独楽 ばいごま
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農事
はぎかり
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翌春の発芽*はつがを促すために、花が終わった萩の株を根元から刈り取る作業のこと
萩刈る はぎかる
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農事
はぜちぎり
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蝋*ろうをつくるために、熟した櫨の実を収穫すること
櫨買 はぜかい
櫨採 はぜとり
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漁猟
はつりょう
はつれふ
狩猟の解禁日に行われる狩り
狩猟期間は11月15日から翌年2月15日までとなっている
銃猟期に入る じゅうりょうきのはいる
銃猟はじまる じゅうりょうはじまる
猟開禁 りょうかいきん
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食
はららご
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魚類の産卵前の卵
特に鮭の卵巣を塩漬けにしたもの
甘子 あま
いくら
鮭の子 さけのこ
筋子 すじこ
すずこ
はらこ
鮞汁 はららじる
鮞飯 はららごめし
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労働
ふくろあらい
ふくろあらひ
新酒を作る際に、もろみを絞った後の麻袋を川で洗うこと
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―
習俗
ふゆじたく
―
冬の寒さに備えるさまざまな準備をすること
冬用意 ふゆようい
雪支度 ゆきじたく
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茶道
ふろなごり
―
夏の間に手慣れた風炉*ふろ
/ 茶の湯の席で湯をわかすのために使う移動式の炉を惜しんで開かれる茶会
茶道では旧暦10月の亥の日に炉を開き、風炉を片付ける
名残月 なごりづき
名残の茶 なごりのちゃ
風炉の名残 ふろのなごり
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農事
まきとざす
―
春から秋の間、放牧していた馬や牛を、秋の終わりに預け主の元へ戻し、牧場を閉鎖すること
馬下げ うまさげ
閉牧 へいぼく
牧帰り まきがえり
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食
まつたけめし
―
松茸を醤油*しょうゆ、酒、みりんなどで煮つけ、炊いた飯に混ぜたもの
松茸を薄切りにして、醤油、酒、みりんなどで味付けして炊き込んだご飯
茸飯 きのこめし
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労働
まつていれ
―
庭園や公園などにある松の木の手入れをすること
―
―
労働
まつまえかえる
まつまへかへる
夏の間に北海道の松前へ行商*ぎょうしょうに行った人たちが、秋になって本州へ帰ること
松前上る まつまえのぼる
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農事
もみ
―
稲穂からとった実
籾干 もみほし
籾干す もみほす
籾筵 もみむしろ
籾殻焼く もみがらやく
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娯楽
もみじがり
もみぢがり
紅葉を観賞するために山野を訪れること
観楓 かんぷう
紅葉酒 もみじざけ
紅葉焚く もみじたく
紅葉茶屋 もみじぢゃや
紅葉舟 もみじぶね
紅葉踏む もみじふむ
紅葉見 もみじみ
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農事
もみすり
―
稲から収穫した籾*もみを摺*すって、籾殻*もみがらを取り除き玄米にする作業
磨臼 すりうす
籾殻 もみがら
籾磨 もみすり
籾摺臼 もみすりうす
籾摺唄 もみすりうた
籾摺機 もみすりき
籾引 もみひき
籾埃 もみぼこり
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食
やきごめ
―
新米を籾*もみのまま煎*いて、殻を取り除いたもの
いりごめ
とりのくち
ひらごめ
やいごめ
焼米売 やきごめうり
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食
ゆべし
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柚子の実をくりぬき、味噌*みそや山椒*さんしょう、クルミなどを詰めて蒸したもの
柚醤 ゆびしお
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食
ゆみそ
―
細かく刻んだ柚をすり鉢でよく摺*すって、味噌*みそやみりん、酒などを加え調味したもの
柚釜 ゆがま
柚子味噌 ゆずみそ
柚味噌釜 ゆみそがま
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農事
りんごえん
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リンゴを栽培している農園
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農事
わたとり
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熟して裂けた綿の実の中から白い綿毛*わたげが吹き出したものを摘*つみ取ること
綿打弓 わたうちゆみ
綿買 わたかい
綿繰り わたくり
棉摘 わたつみ
綿干す わたほす
棉弓 わたゆみ
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農事
わらづか
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稲刈り後の稲わらを積み上げたもの
藁ぐろ わらぐろ
藁こづみ わらこづみ
藁にほ わらにお、わらにほ
稲刈 いねかり
新藁 しんわら